青志社

西部邁/著
『妻と僕 寓話と化す我らの死』

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妻と僕 寓話と化す我らの死
西部邁/著
『妻と僕 寓話と化す我らの死』
がんで逝く妻への「恩愛の記」

発行日: 2018年7月3日発売
定価: 本体1,600円+税
サイズ: 四六判上製
ページ数: 256ページ
ISBN: 978-4-86590-066-8

【目次】

T 生と死 永劫と刹那が応答している
U 女と男 言葉におけるかくも絶大な隔たり
V 金銭と名誉 「美田」を「高楊枝」で歩く
W 孤独と交際 煉獄にも愉快がないわけじゃない
X 幼年期と老年期 三つ子の魂は百まで生きる
Y 異邦と祖国 「何か」が涜神のあとにやってくる
おわりに/生の誘拐が死を救済する
特別寄稿 父と母の風景/西部智子
著者略歴


【内容紹介】

新装版
不幸だが幸せ≠セった――。
がんで逝く妻への「恩愛の記」

思想家は連れ合いの死を
どう受け入れて看取るか

不器用だったが
夫婦でよかった
僕もじきにあとを追う

特別寄稿 西部智子

すっかり弱々しくなった彼女を少しでも助けるべく、僕は家事や治療に協力してはいます。皿洗いや買物や灸や指圧にも楽しみがなくはないと、毎日、実感してもいるのです。
しかし、彼女の身体の深部を苛んでいるに違いない苦痛を緩らげてやるには、また彼女の心理の根底に穴を穿ちはじめていること必定の不安を軽くしてやるには、実際どうすればよいのか、途方に暮れることが多いのです。いざというこのときに、かくも無能ならば、僕の思想とやらには一文の値打ちもあるまい、とすら思われてきます。(略)知行合一の視点から見ると、妻の面倒も看られないというのでは、僕の行ってきた言論は無意味もいいところだ、と言わねばなりますまい。危機感の濃く漂わしているのは、連れ合いの死相ではなく、自分の思想のほうだ、ということなのかもしれないのです。
…………………「おわりに」より

【著者紹介】

西部邁(にしべ すすむ)


1939年北海道生まれ。思想家、評論家。東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。横浜国立大学助教授、東京大学教授などを歴任。東京大学教授を1988年に辞任。執筆活動のほかテレビなどでも活躍。2017年10月まで雑誌『表現者』顧問を務める。著書に『ソシオ・エコノミックス』(イプシロン出版企画)、『経済倫理学序説』(中公文庫、吉野作造賞)、『大衆への反逆』(文春学藝ライブラリー)、『生まじめな戯れ』(ちくま文庫、サントリー学芸賞)、『サンチョ・キホーテの旅』(新潮社、芸術選奨文部科学大臣賞)、『ファシスタたらんとした者』(中央公論新社)、『保守の遺言』(平凡社)など多数。2018年1月21日に逝去。享年78歳。


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