青志社

向谷匡史/著 『安藤昇と花形敬』

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安藤昇と花形敬
向谷匡史/著
『安藤昇と花形敬』
安藤組外伝 THE SHIBUYA WAR

発行日: 2021年10月15日
定価: 本体1,700円+税
サイズ: 四六判上製
ページ数: 368ページ
ISBN: 978-4-86590-123-8

【内容】

圧倒的ノンフィクションノベル 書き下ろし作品
戦後の渋谷の街を命を賭し、剛力を持って疾走した二人の男の「血を暴力」

ふたりはヤクザになろうと思って生まれてきたわけではない。
ヤクザになりたいと思ったわけでもない。
祖国のために、一命を捧げる覚悟の若者が時代に翻弄され、人生に懐疑し、変節に激しく抵抗し、気がついたらヤクザになっていた。
安藤は花形の凶暴性のなかに葛藤と純粋性を見抜き、花形は安藤に殉じることで男気を貫いた。

 解散後の安藤さんについては、よくしられているとおりだ。ひょんなことから映画俳優に転じ、五十本以上の映画に主演して一時代を画す。俳優を引退して以後は映画プロデューサーとして、あるいは文筆家として多くの作品をのこし、二〇一五年十二月十六日、八十九歳で波乱の人生を閉じた。
 私は自身の執筆活動のほか、安藤さんと立ち上げた安藤昇事務所(九門社)の秘書役≠ニして二十数年をいっしょに過ごし、安藤さんの著作や映画制作、ビジネスコーディネートなどに携わってきた。そんなことから花形敬については、安藤さんの口から、あるいは事務所に遊びにみえる元安藤組組員の方々から断片的に耳にしていた。(略)
 すでに鬼籍に入った古参組員が、こんなことを言った。
「安藤は花形がいなくても安藤だが、花形は安藤がいてこその花形だ」
 花形が安藤組でなく別の組にいたなら、ただの粗暴なヤクザではなかったか。戦後史に語り継がれる安藤組の大幹部であり、安藤の留守に劣勢となった組を背負い、殺傷され、そして「伝説」として昇華した。
 前々から、ふたりの半生を同時進行形にして「安藤と花形」を書いてみたかったが、このたび安藤さんの七回忌を期に、鎮魂の意味をこめ、小説の形でペンをとった。
後書きより



【目次】
第一章 花の雨
対極の人生
少年院
名門中学
「昇へ」母の手紙
花形敬、青春の発露
予科練
日本がヤバイ
特攻命令

第二章 遠雷
弱肉強食
無法の時代
渋谷のステゴロ
男を売る
ヤクザ戦国時代
安藤グループの跳躍
自分の眼力を信じる
「殺せ! 耳も鼻も落とせ!」
渋谷の厄ネタ

第三章 風花
朝鮮特需
覚悟を磨く
「俺は、あの人に呑まれている」
潮目の時
これがヤクザの力だ
人斬りジムとの死闘

第四章 時雨
人生の不条理
拉致
男は命乞いしてまで生きてはいけない
怯える力道山
下剋上
蟻が巨象に挑む
花形が心を許す男
三船敏郎と酒
花形敬、撃たれる

第五章 疾雷
孤高と孤独
「安藤を怒らせたらヤバイよ横井さん」
弾く!
安藤ブランドの沽券
渋谷から安藤が消えた

第六章 花の雲
喰うか、喰われるか
前橋刑務所
迷走
安藤組VS東声会
花形敬、時代の終わり
「敬は信念に殉じたのでは」
赤い汗≠弔う
時は止まらず

後書き


湘南の海で
湘南の海で。左から2人目、サングラスをかけているのが花形敬、
その右で肘枕をして笑顔を見せているのが、西原健吾。
2人は安藤組幹部として安藤昇に仕え、そして憤死した。
その短い生涯は伝説となって語り継がれた。


【編集人より】
安藤昇氏と花形敬氏の二人の同時代を、ここまで描いた作品は過去にない。二人の世界を点と線で結ぶことによって、いままで見えてこなかった戦後の日本の裏社会の暗躍と、経済の軌跡が骨太の物語として現れて来た。その人間模様に圧倒される。この物語は、知られざるもう一つの戦後史であり、旧態然としたヤクザ組織から抜け出し、新しい秩序の時代に向かって、剛力を持って疾走した若者たちの青春群像でもある。著者の向谷匡史氏は、二人の伝説のヤクザ≠見事に活写して読者の前に颯爽と蘇らせてくれた。 編集人

【著者プロフィール】

向谷匡史 むかいだに ただし

一九五○年、広島県呉市出身。
拓殖大学を卒業後、週刊誌記者などを経て作家に。
浄土真宗本願寺派僧侶。日本空手道「昇空館」館長。保護司。
主な著作に『田中角栄「情」の会話術』(双葉社)、『ヤクザ式最後に勝つ「危機回避術」』(光文社)、 『安藤昇90歳の遺言』(徳間書店)、『子どもが自慢したいパパになる最強の「お父さん道」』(新泉社)、 『小泉進次郎「先手を取る」極意』、『太陽と呼ばれた男 石原裕次郎と男たちの帆走』、
『田中角栄の流儀』、『熊谷正敏 稼業』、『渋沢栄一「運」を拓く思考法』、
『二人の怪物』、『安藤組外伝 白倉康夫 殉心』、『還暦からの才覚』(青志社)など多数ある。
[向谷匡史ホームページ] http://www.mukaidani.jp


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