青志社

宮内康二/著『増補版 成年後見制度の落とし穴』

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増補版 成年後見制度の落とし穴
宮内康二/著
『増補版 成年後見制度の落とし穴』
気がついたら財産・遺産が他人のものに!人生100年時代の落とし穴 衝撃実例と実用集

発行日: 2025年7月25日発売
定価: 本体1800円+税
サイズ: 四六判並製
ページ数: 256ページ
ISBN: 978-4-86590-186-3

【内容】

強力推薦!
堀田力
(弁護士・福祉家)
「この激しい告発に家裁も弁護士もしっかり向き合ってほしい」
山崎元(経済評論家)
「後見を知らずして人生100年時代のマネーリテラシーは語れない」

後見制度大全 人生100年時代の落とし穴 衝撃実例と実用集
国連から、日本の危ない成年後見制度の現状に3つのダメ出し勧告!

後見の基礎知識!
気がついたら財産・遺産が他人のものに!
自分の老後と親亡きあとの気がかりな子供たちをどう守るか


この本の初版が出た2022年7月の翌々月の9月、国連から、日本の成年後見制度にダメ出し勧告が出ました。簡潔には、「認知症や障害者の権利を擁護するために、本人たちの権利を剥奪している」、「後見人が付いた人が裁判を起こせなくなるのはおかしい」、「そのような成年後見制度を使いましょうという自治体の計画やキャンペーンは廃止」という3つの指摘を受けたわけです。
国連からの指摘は、この本の内容を、すなわち、日本の後見の現場を上手にまとめあげた提言であり、視点や方向性は全く同じと自負しています。
後見の杜 宮内康二 

いま社会問題となっています成年後見制度について実例をあげてわかりやすく解説した本です!
自分の老後と親亡きあとの気がかりな子供たちをどう守るか
「弁護士、司法書士などの後見人と、家庭裁判所などの行政へ!現状の改善と向上に向け告発する!」

「認知症になるのは仕方ないけど、成年後見制度の利用には気を付けましょう!」というのがこの本の趣旨です。
 超高齢化社会において、長生きすれば認知症になる確率は高まります。認知症になると、銀行からお金を下ろしたり、介護サービスを選んで契約をしたり、税金を含む各種支払いが儘(まま)ならなくなることしばしばです。
 誰かに代わってしてもらわないと、社会的立場が危ぶまれてしまいます。
 ついては、認知症高齢者等の財産を預かり、必要に応じてお金を払ったりもらったりする人(成年後見人)を選び、その業務を管理する「成年後見制度」が用意されているわけですが、その成年後見制度には落とし穴があるから気を付けましょう、ということです。
 成年後見制度には、自分で後見人を決める「任意後見制度」と、家庭裁判所があなたの後見人を決める「法定後見制度」があります。
 自分は元気だからまだ後見なんて関係ないと思う人は多く、任意後見制度の利用は年間700人程度に留まっています。
 これに対し、家庭裁判所がすべての運営を取り仕切る法定後見制度の利用は4万人弱の実態。大丈夫と思っているうちに、国のお世話にならざるを得ない状態になってしまう人がいかに多いかわかるでしょう。
 国が決める後見人(法定後見人といいます)だから安心と思っている人もいるでしょう。しかし、この本では、裁判所が後見人を決める法定後見はお勧めしていません。裁判所があてがった法定後見人により、家族と会えなくさせられたり、自宅を売られたり、思い出の品を勝手に処分されたりと、ろくなことがない割に、数百万円を超す後見人報酬を取られることが少なからずあるからです。
 裁判所が選んだ、弁護士資格を持つ後見人が、そのようなことをするはずがないと思う方がいるかもしれません。そう思う方は、第3章の高齢者後見トラブル1〜10、障害者後見トラブル1〜10をご覧ください。認知症になったり、障害を持ちながら生きることがまるで悪で、法定後見人から、数々の制裁的行為を受けている方々の悲痛を垣間見ることができます。(略)
 そこで、この本では、自分で後見人を選ぶ任意後見を勧めています。
 家族がいれば家族に頼むのが普通です。家族がいなければ、「認知症になってからの、銀行とのやり取り、保険金の請求と受取り、介護サービスの支払い、自宅売却などを頼む」という具合に、友人や知人に頼んでおけばよいのです。
 頼むと言っても口頭でお願いしてもダメ、メモにその内容を書き留めても世の中では通用しません。いつ、どこで、誰が、誰に、何を、いくらで頼んだという内容を、公証役場の公証人によって、任意後見契約書に落とし込んでもらう必要があります。
 公証人が関わるので、任意後見なら安心と思う人は多いと思いますが、任意後見にも落とし穴があります。第2章の「任意後見で失敗しない6つのノウハウ」を参考に、今後の準備を適切にして頂ければ幸いです。
 2025年現在、成年後見制度を使っている人は約25万人です。家族が後見人になれる割合は2割弱、家族がいても見ず知らずの、家庭裁判所に営業登録している弁護士等が後見人になるのが8割強の実状となっています。
 家庭裁判所が後見人を後見人に選ぶ(選ばない)基準は公表されていませんが、概ね後見人がつく人の預貯金が500万円以上あると、後見人への支払い能力があるとみなされるようです。
 家庭裁判所は、家族がいても、裁判所に営業登録している弁護士のなかから見繕って、あなたの家族やあなたの後見人を選びます。「家庭裁判所が強権を振るい、知らない人が後見人になったら、不服申し立てをすればいい」と思っている人がいるかもしれません。しかし、家裁の人選に文句を言うことは制度上認められていませんので審判即決定、見ず知らずの弁護士等に通帳、印鑑、マイナンバーカード、その他の書類を渡さなければいけなくなるのです。(略)
2024年4月から、法務省にて、成年後見制度の見直しが行われています。そして、2027年から、新しい成年後見制度に生まれ変わるといわれていますが、さらに大きな落とし穴が待ち構えていると危惧しています。
 というのも、成年後見制度は、「家族が、家族の後見人になって、無料で仕事をする前提」で設計されているのに、いきなり、弁護士や司法書士を後見人とする前提で、新しい運用についての検討がなされているように映るからです。
 1年程度の議論を経て、法務省の委員会は、2025年6月上旬、「民法(成年後見等関係)等の改正に関する中間試案(案)(変更等説明付き)」を公表しました。
 しかし、家庭裁判所が、どのような理由や手続きで、家族、弁護士、その他のいずれかを後見人とする(べき)という部分の内容の記載は極めて不明瞭、一般の方には到底分からないでしょう。要約すれば、「儲かる間は弁護士等を後見人とし、金が取れなくなったら家族を後見人とする」という方向性と思っています。
                      「はじめ」により

【目次】

はじめに
序章 後見の基礎知識

第1章 今、なぜ後見制度が問題なのか

成長を止めた後見、政策的に増加する保佐・補助の利用
もはや衰退傾向の任意後見
配偶者と障害者の親御さんに愛想を尽かされた法定後見
市長申し立てランキング一位は福島県
8兆4千億円を848億円かけて管理する高コスト体質の後見
後見制度を使っても99・9%の確率で動かせる不動産と家族信託の今後

第2章 成年後見との後悔しない向き合い方
後見制度を使う必要度と費用の査定の目安
任意後見で失敗しない6つのノウハウ
親や配偶者が認知症の方へのアドバイス
子供に知的・精神障害がある親御さん、兄弟姉妹への助言
まだまだ元気なシニア層への提案

第3章 一緒に住めない、お金を使えない、深刻後見トラブルのなぜ?
スイスと米国の後見トラブル「亡命、無理心中、避妊器具装着」
日本における高齢者後見トラブル10選
日本における障害者後見トラブル10選
後見トラブル泣き寝入り、6つの後見対策

第4章 家庭裁判所は誰のためにあるのか
2012年の広島高裁判決から私たちが学んだこと
なぜ親族後見人は家庭裁判所から追い出されたのか
本来であれば裁判所が主導すべき監督業務の外注ラッシュの実態
障害者である姉にとっての過剰な負担は、なぜ起きたのか
家庭裁判所から勝手に当てがわれた監督人への5大対策
家庭裁判所に付き合わされる信託銀行と信用金庫業界
後見係の失態と執るべき対抗策

第5章 いわゆる専門職後見人の一部の呆れた実態
後見利益団体リーガルサポートの素顔10選
裁判所が決定した弁護士後見人による使い込み横領事件
身上監護は本人とお話をするだけ、と断言する大阪の弁護士
人としてまさかの悪条件を突きつけた弁護士後見人

第6章 清く正しい成年後見制度を目指すために
一緒になって後見利用を良くしよう
始まる!「みんなの成年後見センター」のプラン
後見人が必要かどうかを見極める後見業務のチェックリスト
おわりに

【著者紹介】

宮内康二(みやうち・こうじ)
1971年生まれ。
早稲田大学人間科学部卒業、南カリフォルニア大学ジェロントロジー(老人学)大学院修了。
株式会社ニッセイ基礎研究所研究員、東京大学医学系研究科および政策ビジョン研究センター特任助教を経て、一般社団法人後見の杜代表。
高齢者を元気にする仕事につきたいと考え、当時まだ珍しいジェロントロジーを学ぶため渡米。加齢のメカニズム、年を取ることの意味、高齢者が増える社会の課題やあり様を学びつつ、白人・黒人・アジア人の老人ホームを回り高齢者の悲喜こもごもの一端を垣間見る。
日本で、日本語で、日本のジェロントロジーを学べる場所を作りたい一心で、東京大学のジェロントロジー寄付研究部門の立ち上げに参画、企画・運営を担当する。
ジェロントロジーの体現化として力を入れたシニア層による市民後見活動の推進に並行し、成年後見制度のトラブル対応に挑戦していく過程で、高齢者のお金をめぐる周囲の人間関係のもつれに辟易するこの頃。NHKあさイチを含めメディア、執筆、講演多数。趣味ゴルフ(なかなか上手くならない)

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